2021/06/26

執筆者:ジンケン

秋川の支流の集落で製材所と水車のお話を伺いました (水と森と木と人と仕事の話)

先日、あきる野で製材所を営む沖倉さんという方とお話ししている時に、養沢のとある場所で、昭和42年まで【水車で】ノコを動かしていた製材所がある、と教えていただきました。

※製材=丸太をノコで挽いて四角い木材にすること

水車!
以前から気になって仕方がなかったやつ!

昭和の初め頃まではきっと、秋川流域でもあちこちで水車が回り、それで穀物をついたり製材をしたり、ギイギイ、ザバザバと音を立てながら、自然と人間の営みがリズム良く回っていたはず・・・

秋川流域に暮らす人たちの昔の風景や生活文化に欠かせなかったものとして、以前から気になっていた・・・水車!

(私の知的興奮メーターは一瞬でブチ上がりです)

秋川(とその支流)の水の力で削られて、長い長い年月をかけて形成された、この地域の尾根と谷の複雑な地形。

そんな険しい山の斜面に植えられて育った杉や檜を切り出して、川の水の流れを利用して丸太を運び、水の力(水車)で道具を動かして加工していたという、この地域の水と大地と人間の営み、そして時間の流れが絡まり合った林業と製材業の話・・・それが面白くないはずがありません。

養沢川の優しい流れのそばで水車がくるくると回る風景。

そこにはどんな音がして、どんなリズムで、どんな人が、毎日をどんな思いで、仕事に励んでいたんだろう。。。

話を聞いた翌日、沖倉さんからご連絡をいただき、ご親戚だという「その方」をご紹介いただいて、先日、お伺いすることができました。

かつて水車を使っていた、その養沢の製材所は「田中製材所」。

優しい目をした田中さん。

田中製材所の遍歴や林業の話にとどまらず、養沢集落の伝説、御岳山への参道のひとつ(御岳道)だった養沢の昔の様子など、いろいろとお話を伺うことができました!

感激です。

明治16年(!)に建てられたという、かつての田中製材所の建物。

太い梁を持つ従来の日本の建築とは違い、屋根の荷重を分散させたトラス構造で建てられた、当時再先鋭の建築だそうで、あちこちから見学者が来たとのことでした。
(残念ながら昭和に入って火事で焼けてしまったとのこと)

写真の右奥に馬車が見えますね、そこが現在の道の位置、手前が川です。
建物から出て職人さんたちがポーズを決めてますね。
その右側に見えるのは大きな丸ノコ!

建物の左側には、そう、水車が見えます!
この水車の回転を、歯車やベルトを介して回転数を調整して、丸ノコを回して木を製材していたんですね。

(現在、国内に唯一残る水車による製材を行う岡山県の製材所のYoutubeを見た時に、それが帯鋸だったので昔はみんなそうかと思っていましたが、むしろ丸鋸のほうが普通だったのですね。)

水車の上から流す水は、少し上の沢から引いた水を木の水路で導いてきて、建物の裏を通して、落としていたそう。

ここを水路が通って・・・

水車があったのは、建物の裏のこのあたり。

これも貴重な写真!

想像よりも、水車が川の水面に近いです。

「大雨で水が増えたら・・・水に浸かって壊れたりしないんですか?」

→「流れは向こう岸にぶつかって、こっちは渕になるから、まあ壊れはしないけど半分より水が上がったらもう回らなくなっちまうな」

いやー、大雨が降るたびにヒヤヒヤしたでしょうね。

昔は奥の山の上に木の塔を立てて、山の向こうの栗の木を切り出して架線(鉄のワイヤー)で木を高く吊るして運んでいたとのこと(それも明治の頃だと言うから驚き)。

鉄道が建設されて距離を伸ばしていった時期、枕木としての木材需要があったとのこと。

ここで働いていた人たちが日々、川の水を見て、山を見て、そして空を見上げて、日本の近代化を支える仕事に従事していたのだなあ・・・。

今、無造作に道端に置かれているこの鉄の大きな歯車が、水車の軸に接続されていた当時のものだとか。

貴重!

製材の話だけでなく、山で木を切って下ろすまでの話も伺いました。

これは、山の中で切った木を寝かせて積んでおいて、そのまま乾燥させてから下ろしたんだよ、という写真。

写真で見ると、さも当然のように綺麗に並んでいますが・・・少し林業のお手伝いをしてたことがあるからわかるんですが、切ったばかりの木ってめっちゃ重いんですよ。

重心を慎重に読んで正確に動かさないと、思いもよらない方向に回るし、倒れるし、しなるし、変にぶつかったら人間なんて簡単に跳ね飛ばされます。

重機もない(あっても入らない)こんな斜面でこれだけの作業をするだけでも、すごい技術とノウハウです。

現役時代の田中さん(中央)。

すご!

太!

書き切れないですが、気づいたら2時間近くも、妻と2人で興味深いお話を聞かせていただきました。

ありがとうございました!

私たちは、この地域の魅力を伝えつつ、たくさんの人に豊かな体験と時間を楽しんでもらえるようなご案内やコンテンツづくりをしています。

それはガイドツアーであったり、自然の中で楽しめる謎解きやセルフガイドの遊び方であったり、形はいろいろですが、この地域の方々が自然と共存しながら生活することで蓄積されてきた「地域の物語」をそのコンテンツの中に織り込んでいくことを常に意識しています。

それは、こうした地域のミクロな物語に自然な形で触れてもらうことで、単なる観光や遊びよりも、より体感的に充実感のある体験になるからです。

今日は、「水車」をきっかけにして、水と山と木と人のロマンをたくさん感じることができました。

この私たちの発見や驚きや感動を、この地域を訪れる方々にどうやって届けようか・・・

考えているとワクワクしてきます!

田中さん、関係者の皆さん、ありがとうございました!